奈良県吉野郡天川村にある「龍泉寺」は、およそ1300年前に大峰山の開祖である役行者(役小角)が、泉が湧き出ている場所を「龍の口」と名付け、お堂を建てて八大龍王を祀ったのが起源とされている寺院です。
その200年後には、龍泉寺から歩いていける距離にある「蟷螂の岩屋」に、2匹の大蛇が棲みついて住民が困っていたところ、聖宝理元大師が1匹を退治してもう1匹を山中に追いやり、衰退していた龍泉寺を再興したとされています。
現在の龍泉寺は、修験道の根本道場として水行場や滝行場があり、修験者が大峰山を登山するときに必ず訪れる寺院です。
また、龍泉寺は洞川温泉街の裏手を流れる山上川を渡った場所に建っていて、洞川地区からアクセスしやすい観光スポットとして、参拝に訪れる人も多くいます。
大峰山第一の水行場
総門をくぐるとすぐ右側に大峰山第一の水行場があり、水行場の小島には下駄をはいて手に錫杖を持っている、役行者の像が立っています。
大峰山を登る修験者は、水行場で水に浸かって身を清め、八大龍王尊に安全を祈願してから登山するそうです。
龍の口
境内の奥にある龍の口は、今も枯れることなく水量豊かに水が湧き出ていて、修験者の清めの水として水行場を潤しています。
龍の口のある場所には、龍の口に棲んでいた白蛇にまつわる伝説話が書かれている立札があり、賽銭が投げ入れられていました。
八大龍王堂
駐車場の近くにある八大龍王堂は、修験者が大峰登山時に安全祈願で訪れるほか、交通安全や海上安全で参詣されるお堂で、毎年10月の第2日曜日に「八大龍王祭」が開催されます。
八大龍王堂の外観は龍の彫刻が施され、お堂内部の天井の板には龍の絵が描かれています。
本堂
本堂の入口には、役行者が従えたとされる前鬼と後鬼の像が左右に立っています。
前鬼と後鬼は夫婦で、前鬼は夫、後鬼は妻だそうです。
本堂内には、御本尊である弥勒菩薩が祀られています。
本堂内の一角には、奉納されたものと思われるすごく重そうな鉄下駄と錫杖が置かれていました。
なで石
本堂前には「なで石」と呼ばれる丸い石が2つ置かれています。
なで石は重軽石ともいわれ、なでると軽く持ち上がり、たたいて持ち上げると重くなるという不思議な石です。
龍王の滝
境内の奥には、龍王の滝と呼ばれる滝行を行う場所があり、滝のそばに女性用・男性用にわかれた脱衣所が設置されていました。
かりがね橋
龍王の滝からさらに奥の遊歩道を歩くと、かりがね橋という吊り橋があります。
かりがね橋は長さが120m、高さは50mある吊り橋で、洞川温泉の街並みを見渡すことができます。
基本情報
龍泉寺の公式サイト
住所
〒638-0431
奈良県吉野郡天川村洞川494
アクセス(電車・バス)
近鉄電車「下市口」で下車→奈良交通バス「洞川温泉」で下車
駐車場(普通車)
収容台数20台 無料