京都市右京区にある「仁和寺」は、皇室や貴族とゆかりが深い門跡寺院で、旧御室御所と呼ばれています。
888年(仁和4年)に創建され、宇多天皇が出家して仁和寺を住坊にしてからは、明治維新まで皇族が仁和寺の門跡を務められました。
また、御室桜と呼ばれる桜の名所として知られており、1994年に「古都京都の文化財」のひとつとして世界文化遺産に登録されています。
御殿の拝観
御殿入口
二王門をくぐるとすぐ左側に、御殿へ続く本坊表門があります。
御殿は白書院・宸殿・黒書院・南庭・北庭・霊明殿等を拝観することができ、拝観料金は高校生以上が500円で、小・中学生が300円です。
御殿内の各建物は、写真のような簡素で美しい板張りの廊下で結ばれていて、映画「大奥」のロケで使われたこともあります。
白書院
御殿に入って最初にある建物は白書院です。
白書院は1887年(明治20年)に御殿が焼失したため、1890年(明治23年)に仮宸殿として建設され、その後宸殿が再建されると白書院と呼ばれるようになったそうです。
御殿内では、各建物によって趣きが違うふすま絵を見ることができます。
白書院の松を題材にしたふすま絵は、福永晴帆によって描かれたものです。
宸殿
宸殿は式典などの際に使われる重要な建物で、上段・中段・下段の間で構成されています。
特に上段の間の内装は、天井が小組折上格天井で帳台構や違い棚等を備え、螺鈿細工が施されており、部屋全体に格式の高さと華やかさを感じました。
宸殿内部の絵画は、すべて原在泉によって描かれたものです。
宸殿内の通路には、色鮮やかな板戸絵がいくつかありました。
北庭
霊明殿の方角から見た北庭です。
池泉式で手入れの行き届いた北庭は、背景も良く日本の庭園美を感じさせる庭で、奥行きをもたせるように工夫がされています。
黒書院
黒書院は旧安井門跡の寝殿の遺構を移築したもので、竹の間・柳の間・秋草の間・葵の間・上段の間・松の間の6室で構成されています。
黒書院のふすま絵は、堂本印象によって描かれたものです。
霊明殿
黒書院から渡り廊下で結ばれている霊明殿は、歴代門跡の位牌が祀られています。
拝観した時は、正面の障子が少しだけ開かれていて、その隙間から中の様子をうかがうことができました。
本尊は像高11cmの小さな薬師如来坐像で、1990年に国宝に指定されています。
勅使門
境内の参道と御殿南庭をつないでいる勅使門は開いていませんでしたが、参道側から勅使門に近寄ってみると、非常に細やかな透かし彫りや彫刻が施されているのがわかります。
境内の見所
二王門
重厚で立派な造りの二王門は江戸時代に建てられたもので、重要文化財に指定されています。
南禅寺の三門、知恩院の三門と共に京都三大門のひとつに数えられており、二王門の左右には金剛力士像が安置されています。
五重塔
中門をくぐると、右側に五重塔があります。
国宝に指定されている五重塔は1644年に建てられ、塔身が32.7m、総高が36.18mあります。
各層の屋根がほぼ同じ大きさなのが江戸時代の五重塔の特徴だそうですが、仁和寺の五重塔も同じような特徴を示しています。
金堂
金堂は、寛永年間(1624~1643年)に京都御所の紫宸殿を移築したもので、現存する最古の紫宸殿になります。
国宝に指定されており、本尊は阿弥陀三尊です。
経蔵
経蔵という建物は普段内部をみることができませんが、釈迦如来や菩薩など六躯が安置されています。
また、経蔵中央部には八角形の回転式輪蔵が設置されていて、768ある引き出しの中には一切経が収められています。
特別公開時でも基本的に輪蔵を回すことはできないようですが、一回転させるとすべてのお経を呼んだのと同じ功徳を得られるそうです。
鐘楼
朱色が鮮やかな鐘楼は、江戸時代の鐘楼の代表作といわれ、重要文化財に指定されています。
水掛不動尊
境内のいちばん奥にある水掛不動尊は小さなお堂ですが、参拝する人が多く少し列ができていました。
菅原道真が腰掛けたと伝えられる菅公腰掛石の上に、小さな不動明王が安置されており、長いひしゃくで水を掛けてお参りすることができます。
施設情報
仁和寺の公式サイト
住所
〒616-8092
京都府京都市右京区御室大内33
アクセス(電車・バス)
嵐電北野線「御室仁和寺」で下車すぐ
市バス10、26、59系統「御室仁和寺」で下車すぐ
駐車場(普通車)
収容台数100台 1日500円
拝観時間
3月~11月 9:00~17:00(受付は16:30まで)
12月~2月 9:00~16:30(受付は16:00まで)